その1|メ芸クリエイターと高知のクリエイターが一度も会わずに「パラレル高知」を作ってみた。

「いま、つながる、を考える」ためのWeb限定コンテンツ第一弾として、CGやVRを駆使してメディアアート作品を作っている谷口暁彦さんと、高知でフィギュア作品やイラストを作っているデハラユキノリさんとのオンラインコラボレーションの模様をお届けします。

今回の登場人物

谷口 暁彦さん

メディアアーティスト
埼玉県在住

デハラ ユキノリさん

フィギュアイラストレーター
高知県高知市在住

クリエイターたちが一度も会わずにコラボレーションする

▼事務局

こんにちは。
今回は、昨年来のコロナ禍の中で色々なクリエイターやアーティストが色々なやり方で試みてきた「オンラインコラボレーション」を文化庁メディア芸術祭高知展「ニューツナガル」の中でもやってみようということで、メディアアーティストの谷口さんと高知にお住まいでフィギュアなどを作っておられるデハラさんという一面識もないお二人に、一度も会わずにコラボレーションして「何か」を作っていただくというプログラムの成果をみんなで見てみようと思います。
お二人とも、曖昧かつ無茶なお願いにもかかわらず協力してくださってありがとうございます。
今日はよろしくお願いします。

▼谷口さん

よろしくお願いします。

▼デハラさん

よろしくお願いします。

▼事務局

さて。
今日までにすでにある程度コラボレーションの作業は進んできていまして、「高知市の街を元にしたバーチャル空間」を作ってみようということでやってきました。Zoomなどのオンラインツールやメッセンジャーなどを使って、谷口さんとデハラさんは一度も会わずにオンラインのやりとりのみでやってみました。

具体的には、まずはデハラさんと私の方で高知の街とデハラさんのフィギュアをスマホの3Dスキャナアプリでスキャンして、その3DCGのデータを谷口さんに送りました。谷口さんの方ではそれらを組み合わせて「パラレル高知」とでもいうようなバーチャル空間を作ってもらいました。
今日はそれが完成したということでZoomを使ってオンラインで集まりました。どういうものができあがったのかは、谷口さんしか知らないという状況ですね。

バーチャルと言っても実際には谷口さんは高知市には行ったことがないそうですのでメディアアーティストとしての想像力で、空想で作っているのであって現実の高知がその通りに再現されているというものではないわけです。
その一方で、3Dスキャナでスキャンした3Dデータは本物の高知市からとってきたものなので本物の高知の一部分ではあるわけです。

ですので、今日はともかくみんなで一緒にそのバーチャル空間を見て谷口さんに解説してもらいながら、高知の方にしか分からない部分についてはデハラさんに解説してもらうという会をやればいいのかなと思っています。
バーチャル観光旅行のようだけど我々が観光しているここは一体「どこ」なのか…?
最初は谷口さんが観光ガイドのような役割だけど現実の高知に関するガイド役はデハラさんの方が詳しいし…?
というような、曖昧な時間にできればいいなと思っています。

それでは谷口さん、お願いします。

パラレル高知を散策する

▼谷口さん

はい。

作業自体は、僕が普段使っているUNITYというアプリケーションを使っています。
これはいわゆるゲームエンジンと呼ばれるもので、商業の世界とかでも使われているし、個人のゲーム作家の方なんかもよく使っているものです。
僕自身は、ゲームというよりはメディアアート作品を作るために使うことが多いです。
「自分でプレイするゲームを作る」ような感じですね。

今回は、デハラさんと事務局の方にスキャンしてもらった高知の街とデハラさんのフィギュアのデータを使って、それらをコラージュ的に並べて3D空間を作ってみました。
それを、お見せしますね。

色々なデータを送ってもらったので、それらを使って街の中を散策できるような形で作ってあります。

↑パラレル高知散策の模様は動画でもご覧いただけます。(技術的な事情で低画質版です)

▼事務局

あ!
デハラさんのフィギュアが歩いている!!

▼谷口さん

そうですね(笑)

▼谷口さん

で。
ちょっと上を向くと…、こういう形で「モニュメント」というか、常に変化するものを作ってあります。
周りからデハラさんのフィギュアとか、あとは僕自身のアバターが飛んできてくっついていきます。

▼谷口さん

街の中を少し歩いてみると…
こういうのがあります。
「ひろめ市場」というのがあるんですね。

▼デハラさん

そうですね。
酒飲みランドと呼ばれています。

▼事務局

…あれ。
そこに、人がいますか?

▼谷口さん

はい。
人間がいます。
「かつて人だったもの」とでも言うか。
街並みと一緒にスキャンされちゃったんでしょうね。

▼デハラさん

そういえばここをスキャンするときに人が何か作業していました。

▼谷口さん

進んでいくと…これはたぶん、デハラさんでしょうか?

▼デハラさん

そうですね。
それにこの場所は、まさに今僕が通話しているこの場所です。
自分がいますね。

▼事務局

二人に分裂していますね?

▼デハラさん

これはスキャンするときに、こういうふうに分裂してしまいましたね。

▼事務局

あ。
何かがいる。
けむくじゃらです。

▼谷口さん

いますね。
立ち止まっています。

そして向こうには、「モニュメント」が見えますね。
どんどんでっかくなっていっています。

▼事務局

あ、これこれ。
このお店、高知で見かけました。
デハラさん、このお店は高知では有名なんですか?

▼デハラさん

そうですね。
「GOLD」というお店です。
有名ですよ。

▼谷口さん

「海の家」って書いてありますね。
かっこいいお店ですね。

▼事務局

これこれ!
この人はデハラさんのフィギュアではなくて、実在の人なんです。
デハラさん、この人のことを紹介してもらえますか。

▼デハラさん

これは高知市では有名な、パンダの格好をしている「パンダおばさん」です。
子供とかをみると紙で折ったシュリケンをくれるってゆう人です。

▼事務局

私ももらいました。シュリケン。

▼谷口さん

これも、有名なお店なんですか?
隣に巨大な何かが立っていますが。(笑)

▼デハラさん

これが、さっきパンダおばさんがいた「じんぜんじゅカフェ」というお店の外観です。

▼谷口さん

個性的なお店が多いですね。

▼事務局

谷口さん、高知には行かれたことはないそうですが、「高知市にいるぞ」という感じはしますか?

▼谷口さん

ふふっ。

▼デハラさん

も、もうちょっと実際には綺麗な街かもしれないです!

▼事務局

スキャンしているアプリの性能の限界というのもありますよね。
ちょっと歪んでスキャンされてしまうという。

▼デハラさん

高知のエッセンスが凝縮されているかも…と言う気もします。

▼谷口さん

なるほど。
そうなんですね。

▼谷口さん

で。
ここにですね…。

▼事務局

あっ!みんないる!!

谷口さんにデハラさんに…私もいる!パンダおばさんも!!
それにデハラさんのお子さんに、あとはさっき出てきた「じんぜんじゅカフェ」のマスターもいますね。
後ろにはデハラさんの作品「サトシくん」がいますね。

▼デハラさん

「サトシくんの塔」です。
後ろにあるのは、高知城の石垣と「山内一豊公の像」ですね。

▼谷口さん

ここで、記念写真を撮れます。

▼事務局

そんな機能まで。

▼谷口さん

これでだいたい一周しましたね。

▼事務局

「モニュメント」のところに戻ってきましたね。
ありがとうございました。

こういう形で高知を歩くことができた

▼事務局

お二人とも、やってみてどうでしたでしょうか?

▼谷口さん

こういう形で実在のオブジェなどを3Dスキャンをして作品に使うことはこれまでにもやったことはあるのですが、今回のように街並みごと取り込んで空間を作るというのは初めてやりました。

やってみると、なんというか不思議なダンジョンのような空間になっているし、どこまでが実在のことなのかどうか分からなくなってくるような感覚がありました。
それから、「デハラさんのフィギュアが歩き回っている」というところが重要だったなと感じますね。

▼事務局

オンラインでコラボレーションしたという点は、いかがですか?

▼デハラさん

僕はこんなふうにコラボレーションしたことがなかったです。
いつもは実在のモノとしてのフィギュアなどを扱っているので、これだけの量のデータをやりとりしてというやり方自体が面白かったです。

▼谷口さん

僕もそこはすごく楽しかったです。
いつも高知など地方で展覧会などに呼ばれるときはその土地を歩いてみたり人と会ったりすることが楽しいわけですが、今回はそれはかなわなかったけど、それでもこういう形で高知を歩けたというのは、やっぱり楽しかったですね。

▼事務局

いくらかは「ニューツナガル」できたと考えて良いのでしょうか?

▼谷口さん

そうですね。
良いと思います。(笑)

▼デハラさん

(笑)

▼事務局

なるほど。
そうであれば、よかったです。
お二人とも、今日はありがとうございました。

▼デハラさん

ありがとうございました。

▼谷口さん

ありがとうございました。

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今回のコラボレーションで制作した「パラレル高知」は、メ芸高知展にて展示予定です。
近圏の方は、ぜひ会場でもお楽しみください。