本をつくる=地域を記録する
▼タケムラさん
と、いうようなことが普段の仕事なんですが、これらと並行して地域に関わる仕事もやっています。
中でも「本をつくる仕事」は本職と並んでやっていることです。
最初に紹介したいのが、2005年につくった『高知遺産』という本です。
内容はこんな感じですね。
2005年というのが高知にとってどんな時期だったかというとですね、2000年ごろに高速道路が高知まで延びてきたんですが、それと同時にさまざまな道路がたくさんでき、コンビニやショッピングセンターが増えたり建物が建て替わり、いっきに街並みが変わっていった時期なんです。
街が変わっていくこと自体の是非はまあいろいろあるわけですが、あまりにも急激に変わっていくので記録しておこうということになりました。
30人くらいのメンバーで色々写真を撮って、一冊の本にまとめたわけです。


最初は展覧会の形で発表したんです。
graffitiというギャラリーがありまして、そこでやりました。
2004年に第一回をやったら大人気になってたくさんのお客さんが来てくれて続編を第3回までやって、あんまり評判がいいので本にして出版しようということになったんです。

▼タケムラさん
2018年には、「高知遺産」の続編的な形で、『マッチと街』という本を出しました。
昭和から平成初期くらいまでのマッチが1,000個以上手元にありまして、それを、エリア別とか職業別とかに分けて掲載しているという本です。

こんな感じです。
喫茶店とか居酒屋さんとか。
今もある店のものもあれば、ないお店のものもあります。
デザイン的に面白いものをチョイスしているような選び方をしています。
高知の街の中は商店街なんかが今でも元気ではあるのですが、それでもこの当時は今からは考えられないくらいさまざまな業態や形態のお店があって、それぞれに特徴のあるマッチがあったんです。



これはキャバレーなのですが、一つのキャバレーのビルの中にクラブがあったり料亭があったりとか。
▼事務局
この本は拝見したのですが、イベントの告知マッチというのもあったりするんですよね。
▼タケムラさん
そうです。
この右側のやつがそうですね。
美輪明宏さんが、旧芸名の丸山明宏という名前の頃に出演していたというマッチが出てきたりとか。
▼明貫さん
かっこいいですよね。デザイン的な意味で。

▼タケムラさん
そうなんですよ。
「デザイナーが頑張るべきはマッチだ」ということが言われるくらいのことだったようです。
それから地方の…
あ、「地方」って言っちゃった。
▼明貫さん
「地域」です!!(笑)
▼タケムラさん
高知の中でも山の方の地域とか市外の方でも面白いマッチがあって、これらを眺めていると、市内の中心部だけではなくて高知の隅々まで元気だったんだなあという感じがするんです。
▼明貫さん
「CUBA」ってゆうのがありますね。
▼タケムラさん
「CUBA」、ありますね。
これらのマッチに載っている住所を丁寧にみていくと今も続いているお店もあったりして、面白いですね。

▼タケムラさん
それから2021年に作った本が、この『JPN47 にっぽん絵図』という本です。
講談社から出しました。
これは、日本地図の本です。
これは北海道のページですね。
絵地図になっています。
▼明貫さん
あ!
私これ本屋さんで見ました!!
▼タケムラさん
これは、二人のイラストレーターさんと一緒に仕事したのですが、制作に5年くらいかかっていますね。
石川県のページはこんな感じです。
▼明貫さん
やっぱり前田利家が出てくるんですねえ。
石川の人たちみんな大好きなんです。前田の殿様。
▼タケムラさん
石川県は要素がすごく多くて、選ぶのが大変でしたね。
あとは、地形のことが難しかったですね。
地形って、その土地の文化や産業、歴史ともすごく関わりがあるので、活断層や河川、山の形などにもしっかりこだわって作っていきました。
▼事務局
前回の明貫さんの話に出てきた大土町はどのあたりですか?
▼明貫さん
この一番下の、県境に近いところですね。
街から離れて山しかないあたり。
▼事務局
なるほど。
イラスト上でみると一段と…何もないところなんだなというのがわかりますね。
▼明貫さん
そうですね。

▼タケムラさん
これが、高知県ですね。
▼明貫さん
牧野富太郎が描かれていますね。植物分類学者の。
牧野は、高知と縁があるんですか? 植物分類学は資料整理の観点で関心を持っています。
▼タケムラさん
牧野富太郎は、高知県出身なんです。

▼事務局
今回の高知展でも、高知県立牧野植物園に協力してもらって牧野富太郎の植物図を貸してもらって展示します。
牧野は植物の研究のためにすごく細密な植物の絵(=植物図)を描くことで知られていて、前回の明貫さんの話に出てきた中谷宇吉郎とも研究のやりたかに共通するものを感じますね。
▼明貫さん
石川県のページに中谷宇吉郎を入れて欲しかったです。(笑)
▼タケムラさん
すいません、存じ上げずで・・・次こんな本を作るときはきっと。(笑)
これは、とさでん交通というバスや路面電車の会社から依頼されてやっているものです。
バスの中に置く車内誌から始まったフリーペーパーです。
高知県内にあちこち行って、取材して作っています。


それからこれは『アオサバラボ』というものなのですが、土佐清水市の仕事です。
「土佐清水を自由研究する地域研究誌」という言い方をしています。
▼明貫さん
「自由研究する地域研究」!いいですね。
▼タケムラさん
「鹿島」という、土佐清水市の街の中にある島を取材しました。
土佐清水市は、市街地の中に湾が入り込んだような作りになっていて、その湾の中に鹿島があります。
この島の神社のお祭りとか植生、市内の風景とか食事、地形とか地質のことなどを紙面にしています。
「海岸で拾ったもの」を色々と載せたページも作りました。
▼事務局
こういう行政が発行している広報誌的なもので、「地質」のページというのは珍しいですよね。
「拾ったもの」というページも面白いです。
▼タケムラさん
これは土佐清水市の市職員の中にすごくチャレンジしてくれる方がいて、こういう企画を許してくれたので作ることができました。
土佐清水市はジオパークの認定を目指していたので、地質のページなんかはその意味もあったとは思いますが。



▼タケムラさん
などなど。
色々とお見せしましたが、私の場合は請負の仕事であれ自発的な企画であれ、「本をつくる」ということをやるときに、「地域を記録する」という姿勢が強く出てくるなと思います。
「その時々の地域や街の賑やかさ、文化の記録」をやっていきたいなと感じています。


