その2前編|地域を記録するオンライン対談「映像ワークショップと地域とわたし」

映像ワークショップとわたし

▼明貫さん

次は、私個人が映像ワークショップ名義でやっている、どちらかというと「仕事」という感じの活動についてです。

まずこの写真に並んでいるのが、資料を長期保管するための中性紙でできた箱です。
これが私の活動を象徴しているかなと考えているんですが、端的に言うと「アーカイブ」の仕事をしています。

これが去年やった「Floating Archives Storage」というプロジェクトのロゴなのですが、これが、さっきの資料の箱をデザイン化したものだったりします。

▼明貫さん

「Floating Archives Storage」なので、直訳すると「浮遊するアーカイブス倉庫」ですね。
これが何かと言うと、かつてあったメディアアートのフェスティバルの資料をデジタル化してオンライン上で公開していこうという構想です。
去年の段階では、「名古屋国際ビエンナーレARTEC(アーテック)」というフェスティバルについて、資料を集めました。特に新聞記事を集めてオンライン公開できるようにしました。
併せて、愛知芸術文化センターの所蔵している岩井俊雄さんの環境映像作品をオンライン版として公開しました。
このあたりの仕事については、このWebサイトでも詳しく書きました。

こういうかたちで、メディアアートの資料整理ですとか作品保存の仕事もやっています。

▼事務局

なるほど。
これらは、明貫さんのメディアアートの研究者としてのお仕事ということですね。
明貫さんの活動の中で、加賀を中心とした地域のこととはさしあたり別のこととして取り組んでおられることということになりますか?

▼明貫さん

そうですね。
そう言って良いと思います。
未来のための活動という点では似ている部分もありますが、扱う対象が違いますよね。

研究のことをもう少し話すと、90年代に東京にあった「キャノンアート・ラボ」という組織のことを扱っていました。
これはメディアアート史のなかでとても重要な組織で、毎年大型のアート作品をコミッションワーク(作品を購入することを前提として新作の制作をアーティストに依頼すること)として制作していました。

それからこれは文化庁の事業なんですが、「Japanese Media Art Timeline Infographics Project」というものです。
1950年から現代までの巨大なメディアアートの年表です。
作品やアーティストよりは、アーテックやアート・ラボのようなフェスティバルや組織など、出来事の歴史に沿って整理した年表になっています。

▼タケムラさん

これは…すごいですね!
なんかもう、あらゆることが載っていますね。

▼明貫さん

そうでしょ!
これはもう本当に、ぎっくり腰になるくらい大変でした!!

ドイツに行くよりも前から関わっていた文化庁のプロジェクトで、7〜8年かけて資料に当り、データを作成しました。
そのデータを元にこういうかたちでビジュアル化して、やっと表に出せて見てもらえた!という感じです。
もちろん私一人でやった仕事ではなくて、たくさんの人がプロジェクトメンバーとして関わった研究です。

▼明貫さん

それからこちらは最近やっていることですが、個人的なご縁もあって日本を代表するメディアアーティストで近年は絵本作家として活躍されている岩井俊雄さんの資料整理のお手伝いに着手したところです。
「岩井敏雄 アーカイブ&リサーチ」という呼び方をしています。
これも長期的に取り組んでいきたい研究で、いずれ何らかの形で発表したいなと考えています。

▼明貫さん

こちらはメディアアートというよりは「メディア芸術」に近い内容ですが、アニメ背景美術の複製作品に関するプロジェクトもやっています。
アニメの、いわゆる「背景美術」を複製して、作品として販売・流通させようというものです。

Stefan Riekelesさんという方がいて、アニメの背景美術に関する研究をされているのですが、この研究を長年お手伝いしています。
リサーチや展覧会、複製作品制作のマネジメントですとか、あとは著作権処理のこともやっています。

背景美術の原画をスキャンしてデジタルデータ化して高品質のプリンタで印刷するわけなんですが、さらに通し番号をつけて著作権処理済みのサインや証紙を添付して、それから販売ということになるわけです。

複製の印刷には、おとなり富山にある山田写真製版所という、プリンティング・ディレクターのレジェンドがいらっしゃる印刷所にお願いしています。実際に描いた作家も驚くほどの高品質です。

▼事務局

販売するとなると、やらなければならないこともたくさんあるんですね。

▼タケムラさん

原画はどこから?

▼明貫さん

原画というかオリジナルはこれを描いた方がお持ちだったりするので個別に連絡してお願いしてお借りして…というようなやり取りも、私がお手伝いしています。
そこからさらに著作権処理をするわけですが、これが大変です。アニメの場合、描いた方や監督とか制作会社とか、さらに製作委員会とか、著作権に関わる関係者がたくさんいるので。

▼明貫さん

外部メンバーとして参加しているものをさらにいくつか列挙すると、せんだいメディアテークで東日本大震災の映像資料に取り組んでいる「ダイブわすれン!」というプロジェクトや、札幌国際芸術祭の地域組織の「SIAF LAB.」とか、あとは国立民族学博物館と金沢美術工芸大学が共同で取り組んでいる工芸技術の継承のための「平成の百工比照」というプロジェクトの教材映像などの制作に着手予定です。

色々お話ししてしまったのですが、メディアアートとかアニメとか地域とかジャンルは色々なのですが、私の仕事は基本的に「資料」に関わることだと考えています。

▼事務局

「資料」ですか。
言われてみると、なるほど。

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