その2前編|地域を記録するオンライン対談「映像ワークショップと地域とわたし」

「いま、つながる、を考える」ためのWeb限定コンテンツ第二弾前編。

高知県高知市と石川県加賀市。それぞれ別の土地、別の方法で「地域を記録する」ことを試み続けているお二人によるオンライン対談をお届けします。

前編は主に、石川県加賀市を拠点とするキュレーター/メディアアート・アーカイブ研究者である明貫紘子さんの活動についてです。

[※後編はこちらのリンクからお読みいただけます。]

今回の登場人物

明貫 紘子さん

キュレーター/メディアアート・アーカイブ研究者
木村 悟之とのユニット「映像ワークショップ」として、石川県加賀市を拠点にメディアアートの研究やキュレーション、地域アーカイブなどの活動をしている。

タケムラ ナオヤさん

タケムラデザインアンドプランニング代表
高知県高知市を拠点に、「デザイナー」という職域にとらわれない活動で地域に関わり続けている。

▼事務局

こんにちは。
今回は「地域を記録する」というテーマで、高知と加賀、それぞれ違う土地で違うやり方で地域の記録にとりくんでいるお二人のオンライン対談の模様をお伝えします。

それぞれユニークな活動をされているお二人なので、具体的な活動をご紹介いただくところからやりたいと思います。
まずは明貫さんから、お願いします。

映像ワークショップと地域とわたし

▼明貫さん

はい。
今日は「映像ワークショップと地域とわたし」というタイトルで、加賀での活動をお話しします。
「映像ワークショップ」というのが、私ともう一人木村という者とで石川県加賀市に拠点を置いてやっている活動の名前です。

話の流れとしては、
・映像ワークショップと地域
・映像ワークショップとわたし
・地域とわたし
という順番でお話ししますね。

「映像ワークショップ」の起源

私たちが加賀で映像ワークショップを始めたのが大体3年半くらい前なのですが、その時に参考にした事例というのがあります。
加賀に来る前に私たちはドイツにいたのですが、そこで出会った「Filmwerkstatt」という団体がそれです。
「Filmwerkstatt」というのを日本語に直すと「フィルムワークショップ=映像ワークショップ」というわけです。

ここは、60年代に実験映画をやっていたアーティストや映像作家たちが自分たちの映像を上映したり集まったりする場所として作ったのがはじまりです。

それが今でも続いていて、上映会などを毎日のように開催しています。
かなり安い入場料で観られる場合が多いです。4ユーロくらいですね。
上映会以外にも、映像編集をするラボがあったり、講座を企画したり、レジデンス(=アーティストの滞在制作)みたいなことをやったりしています。若い人向けのプログラムやワークショップも多いですね。それから機材の貸し出しもやっています。
すごく素敵な建物なので、結婚式など、外部の人に場所を貸し出したりもしています。
コンサートとか展示とか、色々な企画をいつもやっている感じですね。
「Film(=映像)」と言いながらも、それだけにとどまらないオルタナティブな活動をやっています。

私たちはドイツにいる間、ここにすごくお世話になったんです。
私はゲストキュレーターという形で企画に参加したり、木村はアーティストとしてここで作品を上映したりしていました。

木村は一度、ここの近くの路上で機材を盗まれたんです!

▼タケムラさん/事務局

えっ!!

▼明貫さん

その時も「見つかるまで機材使っていいよ」と言ってくれたりして、公私共にすごくお世話になりました。

元々私がドイツに行ったのはヴィデオアートに関する調査やデータベース化の研究に参加するためだったんですが、その研究者としての職場以外での居場所になったり仕事をできたというのが、私にとってはすごく大きな経験でした。
「コミュニティに入れてもらえた!」という感じでした。

▼事務局

インディペンデントなアーティストやキュレーターの人たちが集まってお互いの活動をサポートしたり、上映会など外向きの活動もしているような感じでしょうか。
運営はどのようにされているんですか?

▼明貫さん

運営資金は99%は税金ですね。国、州、市からの補助とか。
先ほど言ったように上映会は有料なのですがそれ自体はあまり大きな収入にはなっていなくて、むしろその時に販売している飲み物の売り上げなどが重要な収入源だそうです。

地域とのつながり方やコミュニティのあり方など、すごくいいなと思いました。
それで、日本に帰ってきてから私たちもこういうオルタナティブな活動をしたいと思って、アドバイスなどをもらいながら「映像ワークショップ」を作りました。
「映像ワークショップ」の名称を使うにあたっての許可もいちおうもらったんです。(笑)
ゆくゆくは、レジデンスプログラムとか、具体的な連携もしたいなと思っています。

▼明貫さん

それからメンバーなんですが、私、明貫 紘子と先ほどから出てくる木村 悟之の二人でやっています。
私はキュレーターとメディアアートと、デジタルアーカイブの研究、木村はアーティストと映像制作という二人です。

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